船形山ブナ通信  2013年3月4日号
                                                船形山のブナを守る会



    二月の快晴

雪田に立ちて
栗駒山を登る
自分を見る
山頂直下の雪面を登る
自分を見る
月山、鳥海山
尊厳な独立峰に
合掌する自分を見る
飛んで
船形山、蛇ヶ岳の雪稜を
走る自分を見る
そして
水源の森で憩う
自分を見る
 
二月の快晴は
奥羽の山々に
我が身を運ぶ
雪田に残る足跡
円を描く
         俊夫

 



 昭和60年に船形山のブナを守る会が発足し、今年で三十周年になります。
ブナ伐採禁止運動から始まり、体験林業へといろいろと活動してきましたが、
酸性雨や放射能などが森林生態系へおよぼす影響が心配されます。
震災から三年、畏敬と感謝の念を抱いて新たな気持ちでブナの森へ入らせ
ていただきたいと思っています。本年も宜しくお願いします。

 


<<早春の三光宮山行案内>>

二十四節気からするとこのブナ通信が配達される頃が「啓蟄」と称され「冬のあいだ地中に隠れていたもろもろの虫が土の中から這い出してくるころ」とされています。春は名のみとばかり風は冷たくとも、太陽は燦然と輝き力強さを感じさせてくれます。確実に地温も上昇してブナの大木の根回りの雪穴も人が入れるくらいに大きくなっています。
そんな時期に三光宮を目指して登る皆様の姿は土中から這い出した虫たちの行列にたとえられるかも知れません。
さあ、そろそろ虫達に負けじとコタツのぬくもりから這い出ましょう。

期 日 3月31日(日)  参加費(通信費、保険代) 500円
集 合 大和町 午前7時30分
 チーフリーダー :早坂修  サブリーダー :橋敢一 千葉茂 青沼健
〈 行動予定 〉
集合場所     旗  坂     三光宮
7:40         9:00    12:30 13:30
旗  坂       集合場所(解散)          
15:00          16:30

※ 雪山登山となりますので体調不良や脚力に自信のない方はご遠慮下さい。 
※ 参加される方は全員傷害保険への加入となり参加費からの掛け金納入と
  なります。
※ 手袋、帽子、ヤッケなど寒くない服装と昼食、行動食、飲料など完全冬山装
   備でのぞんでください。
※ 山靴にスパッツ、スノーシューかカンジキは必携です。
※ まほろばホールと旗坂間は車で移動しますが、駐車スペースの関係上相乗
   りをお願いします。

 


     
2月初旬に世話人会を開催し今年度の活動計画を決定しました。後藤一磨さんの「被災地はいま」
の報告をいただき、杵つきもちで今年度の粘り強い活動への鋭気をお腹に納めました。

世話人会
【後藤さんの「被災地はいま」の講演】

 
2013年度活動計画
5月19日(日)    第23回体験林業
6月  2日(日) 後白髪山
8月末    第15回ブナの森作品展
9月29日(日)    薪揚げ山行・升沢小屋の
し尿下し(色麻コース)
10月27日(日) 第24回体験林業
1月19日(日) 達居森      

 




【 寄稿 】    脱原発に手を挙げる –その6-
                                   大崎市三本木 Y川R一

 つい先日『政治と思想 1960-2011』(平凡社ライブラリー)を読みました。
三部構成で、第2部が「反原発デモが日本を変える」、第3部は「デモは未来のための実践」です。
この第2部と第3部がわたくしのいまの問題意識であるデモで世の中変わるか、デモに参加すべ
きか、に合致し、みごとに考えの方向を指し示してくれました。この方(柄谷)の本はいつも読むの
に苦労するのですが、適度なボリュームの文庫本で、且つ対談形式をとっていてうまいこと核心
をひっぱりだしてくれているので、今回は時間をかけずにすんなりと読め、内容的にう〜ん!と唸
りたくなるような感銘もうけました。
 それにしても原発とはすごい力をもっているものです。政治や経済、思想、科学技術や環境問
題、人権、人道や憲法など多方面について考えさせられるだけでなく、いやおうなしに自分と向き
合うことを強要します。自分のこれまでの半生を顧みさせ、自分の生き方、在り方、考え方の見直
しを強いてきます。問題回避をさせてくれません。いま世に在るわれわれは実にやっかいな問題
を抱え込まされたものです。
 船形山のブナを守る会は、先日開催の世話人会(2013年度)での提案をうけ、船形山の登山道
並びにその近辺の放射能空間線量測定を始めることにしました。測定器の準備もできてます。
これからデータ取りを始めます。ブナの会の行事や、ブナの会の方の森林パトロール時のみならず、
ブナの会所属の方々の個人的な登山のおりも含めてできるだけ多くのデータを集めたいとおもっ
ています。計器の操作は簡単なのでどなたでも使えます。簡単な測定ルールを決め、これから作成
するデータ記入用紙に反映していきます。せっかくのデータですので、先々何がしかの使用価値の
あるものにしたい。まずは登山道付近のおおまかな線量を把握し、定点を定め(定点観測)、データ
の数を増やしていく。問題ありの箇所については、土壌や落ち葉、樹皮など線源とおもわれるもの
のサンプルを採集し、分析を委託する。そんなことを考えています。放射能についてはまず自分で
測ってみることがスタートだとおもいます。測りだしたら、たとえば毎日のように新聞に載ってる線量
はいったい何なんだろう、どういう基準で測っているのだろう、これは信頼がおける数値なのだろう
か、何故山の汚染マップがないんだろうかとかいう疑問が生じ、またそこからいろんなことが見えて
くるはずです。ブナの会の測定器は一台のみですが、手軽にしかも安くリースしてくれるところも見
つかりましたので、みんなで測ってみましょう。みなさんのご協力をお願いします。
 さて、あの3.11から2年になります。震災、原発事故を風化させてはいけないということで、来る
3月16日に仙台で「女川原発の再稼働を許さない! 2013みやぎアクション」の集会(藤波心ちゃん)、
デモ、講演会(前福島県知事佐藤栄佐久氏)が催されます。ブナの会も賛同し、有志も賛同してい
ます。ブナの会として実行委員会にも参加しています。実行委員会は3,000人規模の集会にした
いと意気込んでいますが、ブナの会としても事情の許す方は是非結集していただきたいと願って
います。
わたくしは、この機に現場に身を置き、臨場しながら「デモで世の中を変えれるか」ということを、
更に考えてみたいと思います。   (2013年3月1日 記)
 



【 他の会の会報より転載 】
   運営委員のひとりごと 「3.11以前の放射能汚染」
                                        M田 Sこ

   今年10月下旬青森県の野生きのこが基準値超えになり出荷制限になりました。
まさか青森県が、という思いで県のホームページを調べてみると十和田市チチタケ120ベクレル
(Cs 134不検出Cs 137:120)階上町ホウキタケ116ベクレル(Cs 134:18 Cs 137:98)青森市サクラシ
メジ107ベクレル(Cs 134 不検出 Cs 137:107)でした。今回の事故由来であれば、必ずCs 134 と
Cs 137の両方が検出されるはずです。ところがチチタケ、サクラシメジを見るとCs 137しか検出
されていません。とても不思議でした。
 放医研の1997 年報告を見ると、1989年から1990年にかけて富士山で採取した野生きのこの
Cs 137 は、17〜1070 ベクレル(生)、北海道の野生きのこ(25種類)のCs 137は0.8〜4512ベク
レル(乾燥)でした。「我が国のキノコのCs 137の多くがチェルノブイリではなく核実験のフオール
アウトに起因するものであることがわかった。核実験は1960年代に盛んに行われたが、そのと
きに放出されたCs 137は30年たった今でも森林生態系の中で動いており、キノコにも移行して
いる」と結ばれていました。
 そうするともしかしたら青森県の野生キノコも今回の事故由来ではなく核実験由来である可能
性も考えられます。基準値超えということで注目を集めましたが、本当はもっと高濃度の汚染
がそのまま検査されずに長年にわたって出回っていたのかもしれません。これはきのこばか
りではないはずです。遠い国の遠い日の出来事だとすっかり安心していましたが、こんなにも
身近なところで時間がたった今でも影響力を持つ放射能の威力に慄然としました。
 気を抜かず、長期戦覚悟で測定を続けなければいけないと肝に命じた一件でした。
みんなの放射線測定室「てとてとミニ通信12月号」より転載させていただきました。
《表記、用語について》 ・ Cs 134はセシウム134、  C s137はセシウム137
フォールアウト   死の灰。核爆発実験によって空中に吹き上げられた放射性生成物が再び
地上に降下するもの。直径10〜500μm(μmとはマイクロメートルで0.001ミリメートル)のものは数
時間〜数日で実験地近くに落ちるが、もっと小さいものは対流圏の風に吹かれて広範囲に飛散、
さらに小さい粒子は成層圏に吹き上げられ長年月にわたって徐々に降下する。

 



【 寄稿 】   七ッ森登山に参加して
                               泉区  M島 T子

私が初めて七つ森に登ったのは昨年の11月、七薬師掛け登山の時でした。
七山登頂したときは疲れましたが、こんなにも遊べる山が仙台市近くにある事を知り、
これからも度々登りにこようと考えていました。
そして今年は笹倉山のご来光登山から始まり、今回の三山登山に参加する事となりました。
鎌倉山登山道からはじまり、雪に覆われた急登を息を切らせ、足元が滑りそうになりながら
登っていきます。途中何度も振り返り見た霧氷の姿は、キラキラと光を放ち、曇り空との
素晴らしいコントラストを描いていました。
今回の初めては、たがら森への登頂です。山頂では皆様から沢山の美味しい食べ物を頂
きました。ご馳走様でした。
下山途中では雪まくりが沢山転がっており、珍しいものを見せてくれた自然に感謝しました。
 七ッ森は四季折々で色々な顔を持っているそうなので、これからも愛すべき山のひとつと
して登っていきたいと思います。


【2013年1月20日 七ッ森山行・ムーミン谷】


【 寄稿 】  2013年新春七ッ森 雪中登山感想記
                                          加美町  K野 Y亮

 『ハアッ ハアッ ハアッ』まるで全力疾走した後のように、ひと足登る度に息が切れる。
真っ白な雪の斜面にはブナを始めとして葉を落とした大小様々な木々が立ち並んでいる。
そんな木立の間を縫って三十三人が一列になり雪の急斜面を登る。先達のサブリーダーが
踏み固めた壷足の跡を踏みながら、実は壷足という言葉は今日初めて知ったのだが、滑ら
ないように左手で木立を掴み、右手のストックで体を支えながらバランスを取る。特に急な斜
面では張られた細いロープを掴むでもなく、掴まないでもない、微妙な具合で掴みながらなん
でもないようにして、実はおっかなびっくりで通り過ぎる。 だが、何度も滑ったり、尻餅をつく。
尻餅をついても転んでも、泥だらけになるわけでもないので一向に苦にはならないのは発見だ。
これも雪山登山の楽しみの一つかもしれない。等といったら不謹慎か?
 ここは七ッ森のひとつ鎌倉山。更に遂倉山、たがら森へと登って行く。登り始めてまだ十分
ほどしか経っていないのに息切れとはなんとも情けない。ザックだってカメラと食料しか入って
なく、そんなに重くはない。スノーシューだって履いてないのだし・・・。それにもう背中がジットリ
汗ばんできている。
 前方からも後方からも、まるで山登りしているなんて思えないような元気な女性たちの話し声が
飛んでくる。今更ながら体力の無さを痛感する。毎日三時間に及ぶ雪掻き作業はさほど効果が
無かったのか?という思いがふと頭を過ぎる。
 時折木立の間を縫って冷たい吹雪がほてった頬に当たり気持ちがいい。これがまた、いかに
も冬山登山をしている気分にさせてくれる。
 下ばかり見ていてはと思い、斜面の途中で止まり、この時期ならではの葉っぱが落ちた木立
の間からは、名前が分からないのが残念だが、真っ白い雪を抱いた遠くの山々が青空にくっき
りと浮かぶ。ちょっぴりだが自然の雄大さが感じられ『いいなあ』と思う。
 休憩時間を利用してセーターを脱ぐ。次回からは薄着で登ることにしよう。
 たがら森で雪の上に腰をおろして昼食を取る。ビニールシートでは矢張りお尻が冷たい。
今日は暖かいおにぎりを食べようと、ちょっとした工夫をしてきた。それがうまくいくかどうかも楽し
みのひとつだ。結果はまずまずの成功!熱いとは言えないが、暖かいおにぎりとお茶が頂けて
チョッとした贅沢気分が味わえた。
 やりかたはこうだ。道具は白金カイロと裏地が銀色の簡易保温バック、それとコンビニで買った
ばかりの熱いお茶。勿論おにぎりは電子レンジでチンしたもの。これらを保温バックに入れるだけ。
皆さん、更にひと工夫をされて寒い冬山登山に新たな楽しみを見つけてみてはどうでしょうか?
 それにしても何度も滑ったり、尻餅をついたり、ハアハア息を切らしてまでして、しかも寒い思いを
してまでして、何故、人は雪山に上るのだろう?壷足を踏みながらふとそんなことを考えた。皆さん
は何故だと思われますか?機会が有りましたら是非とも伺ってみたいところです。
 そんなことで冬山登山を存分に満喫し、今日も最高の一日で終わるなあと思ったが、残念なことに
ジャンケンに負け、最後になってこの感想記が割り当てられてしまった。
 帰路、何をどう書こうか等と考える中、思い出したことがある。出発前の説明でリーダーはわざわざ
前日に全工程を下見、ラッセルをし、我々が安全かつ楽しく登れるように骨折ってくれたとの事。
 更に他のサブリーダーの方々だってその技量に合ったこの時期でなければ登れない山もお有りの
はずなのに、参加者のためにご自分の時間を割いて下さっている事を。
感想記ぐらいを苦労と思うようではリーダーの方々に申し訳なく、薬師如来様のばちが当たるなあと反省をする。
 次回は船形山とのこと。今度こそは最後まで満喫できる一日になることを確信して筆を置くこととする。
お世話になり有難うございました。

 



 大勢の方々から熱い想いとカンパを頂戴いたしありがとうございました。
【 事務局より 】 「船形山ブナ通信」のEメール送信をいたしております。 hunagatabuna@vivid.ocn.ne.jp
 


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