船形山ブナ通信  2012年2月27日号

                                             『船形山のブナを守る会』 
 

 
 春分の節気に三光宮から稜線を眺めよう

二十四節気は一年を二十四に等分し、その区切りと区切られた期間とにつけられた名前
だそうで、二月十九日〜三月四日までを雨水と呼び、三月五日が「啓蟄の節入り日」だそ
うです。啓蟄の次が「春分」となります。まさに季節の節目の表現として現代も活用されています。
その春分の節気に三光宮を目指します。天気次第ですが、青い空の下に白くたおやかな
船形山の稜が一線を描き、その線上に山頂小屋がくっきりと望まれるでしょう。

期 日: 3月25日(日)  参加費(保険代を含む) 500円
 集 合: 大和町(詳細別途) 午前7時30分
 チーフリーダー :K関T夫  サブリーダー :T橋M T橋K一 T嶋K衛
〈 行動予定 〉
集合    旗  坂     三光宮
7:30    8:30      12:00〜13:00

旗  坂       集合場所(解散)          
15:00          16:30
※ 雪山登山となりますので体調不良や脚力に自信のない方はご遠慮下さい。 
※ 参加される方は全員傷害保険への加入となり参加費からの掛け金納入と
  なります。
※ 昼食、行動食、防寒具、手袋、帽子、寒くない服装(防寒、防雪対策)。
※ 山靴にスパッツ。スノーシューかカンジキは必携です。
※ まほろばホールと旗坂間は車で移動しますが、駐車スペースの関係上相乗
   りをお願いします。

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 −−冬の晴れた日−−

  雪田の端に
  居久根の集落
  その奥に
  奥羽の山脈
  左奥に
  蔵王連峰
  泉ヶ岳から始まる
  船形連峰
  船に乗る
  荒神山
  黒森
  前森
  鳴瀬川を渡って
  翁峠
  花渕山
  須金岳
ひときわ雄大な 
栗駒山
右奥に
焼石連峰
青い青い空
私を軸に
白い円を引く
冬の晴れた日
        俊夫

    
震災後もこの風景は変わらない。でも、心の晴れがない。

 
−−悲しみ−−
福島原発事故後
満月を見ても
満天の星を見上げても
心が曇り
思いが届かない
   光のページェントに
   群がる人々に
   「福島」はない
   福島原発事故は
   生き物すべてが
   共有する
   悲しみ
  お祓いできない
  悲しみ
           俊夫     
昨年、詩集「稲穂と戦場」を秋田県の無明舎より自費出版しました。「農」への思いを
つづっていましたが、原発事故への怒りが出版を早めました。その後、もう亡くなられ
た原子力資料室の高木仁三郎さんの「宮沢賢治をめぐる冒険」七つ森書館に出合い
うれしくなりました。
科学の在り方、自然エネルギー、人の生き方など賢治を通してやさしくかたりかけて
きます。ひととき透き通る心になりました。
 福島原子力発電所の事故が、いかに原発が危険であるかを実証しました。
それで当会として、女川原発の再稼働に反対する署名を展開しています。御協力い
ただける方は御連絡ください。署名用紙をお送りします。また「山形県最上小国川ダム」
計画を見直し、ダムによらない治水対策を求める要請署名もよろしくお願いします。

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−−今後の計画−−

5月20日(日)    二次林観察会
6月17日(日) 前船形山頂へ
8月27日(月)〜9月2日(日) 
第14回ブナの森作品展
9月30日(日)    薪揚げ山行・升沢小屋のし尿下し(色麻コース)
10月28日(日) 第22回体験林業
1月20日(日) 松倉山と七ツ森遊歩道  
 
2月初旬に世話人会を開催し活動計画を決定しました。T嶋K衛さんの講演
「森林パトロールでの想い」やO野寺E子さん、T中N子さんの篠笛の演奏
を聴いて、杵つきもちで今年度の粘り強い活動への鋭気をお腹に納めました。
餅つき
(つき手と返し手との息の合った絶妙な掛合いが粘りを決めます)

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【 寄稿 】     赤嶺の主
                            大和町  K K夫

■冬に登る赤崩山
冬の寒さが厳しければ厳しいほど、春を待つ気持ちも強いものになる。そんな言葉
をなにかで読んだような気がする。暖冬に慣れきった体に今年の冬の寒さはことの
ほか堪えた。
 冬の山歩きの楽しみのひとつにしている赤崩山に先日登ってきた。赤崩山とは大和
町西部に位置する標高621mの山だ。遠くから見ると山容は台形状でどこが山頂なの
か判然としない。登山道はなく無雪期に登ろうとすれば藪こぎを強いられる。雪の多い
時期に尾根にとりついて登ると、比較的容易に山頂に達することができる。以前は登山
の対象に選ばれることのない山だった。雪の上には動物の足跡以外になく、いつ行っ
ても一山貸切りの状態だった。
 縁あって去年テレビ取材でこの山を紹介した、無理やり「ふるさとの名峰」にしてしまっ
たのだ。もちろん私にとってはふるさとの名峰に違いないのだが、宮城県内でも無名に
ちかい山がNHKの番組に出たものだから話題となった。
先日登ったときにも雪の上にはしっかりとした踏み跡がついていたのだ、相当数の人が
入ったような感じだった。ラッセルせずとも歩けるのは楽ではあったが、なんだか自分の
穴場をひとつ失ったような侘しさを覚えた。
 地元では昔この山のことを「赤嶺山」と呼んでいた。たおやかな山頂付近はブナやミズ
ナラなどの落葉広葉樹の森になっている。秋の紅葉の頃には嶺を縁取るように赤く染ま
るのだろう。夕日朝日を取り込んで頂稜がいっそう赤らむ様は赤嶺山と呼ぶにふさわしい
情景だったろう。

■赤嶺の主
 この山の山頂付近に私が「赤嶺の主」と名付けた一本のブナがある。あたり一帯では最
も太い木だ。枝振りがにぎやかで、私は初めて見たときにまるで千手観音みたいだと感じ
た。人の印象はさまざまで、いつだったか一緒に行った一人は「紅白歌合戦の小林幸子
みたいだ」と言った。言いえて妙、なるほどそう言われれば見えないこともない。
 このあたりは国有林でかなり昔から伐採の手が入ったようだ。中腹まではスギ、山頂付近
までカラマツが植えられている。恐らくは伐採業者が見逃してくれた立派なブナの一本だっ
たのだろう。北斜面にすっくと立ち青空を支えるように枝を広げている様はなかなか見事な
ものである。
このブナもそうなのだが山頂一帯に数あるブナのほとんどに熊が登った爪痕がある。登山道
のないこの山、豊穣の秋には熊たちの天国なのだろう。お気に入りの木に登って腹いっぱい
になるまでブナの実を貪り、眠くなったら枝の又を枕にそのまま眠る。枝から四肢を垂らして
だらしなく寝入っている姿を想像するだけでも楽しくなる。

■大空の主
主といえばもう一つ紹介したいものがある、オオタカだ。生息場所は不明だがここでは時々
見かけることがある。赤崩山の上空を上昇気流にのって旋回する雄姿はまさしく恰好がいい。
食物連鎖の頂点に位置し、山地の小さな生きものたちにとっては恐るべき存在にちがいない。
以前こんな経験をした。赤崩山の前を通り高倉山に向かっていた時のことだ。薄暗いスギの
植栽地の中を歩いていた。植栽地には区画を分けるためや作業道のためにところどころに
真直ぐな空間がある。ちょうどそこに差しかかった時のこと、空が見えるその空隙のはるか上
から鳥が一羽猛スピードで向かってくるではないか。ヤマドリだった。キジの仲間のこの鳥、
めったなことでは飛ばない。山道を歩いていて足元から飛び立たれて驚いたことは何度もある。
勢いよく飛び去っていく後姿を目にすることが普通なのである。その鳥がこともあろうに私をめ
がけて突っ込んできたのだ。動かずにじっと立っていたからかもしれない。数十メートルのとこ
ろで人間に気付いたヤマドリは急旋回して回避し、私のいる位置からさらに下の沢の藪に大き
な音をたてて飛び込んでいった。
いつもならヤマドリの行方を追うところであるが、瞬間的に状況を呑み込めた私はもしやと思い
スギ林からわずかに見える青空に目をやった。少し間があったが青いスクリーンに滑るように
現れたのは悠然と滑空するオオタカの姿だった。
山の上部にいたヤマドリはオオタカを見かけてあわてて飛び下りてきた、ところがそこには人間
がいた。まさに前門の虎、後門の狼、私も驚いたがヤマドリはもっと驚いたに違いない。弱肉強
食の自然界、大型の鳥ヤマドリといえども死に物狂いなのだ。

■残雪のブナの森へ
ブナをはじめとする落葉広葉樹の森は多くの命を育む。豊かな命のつながりは豊かな営みを
もたらす。生あるものの移ろいを垣間見ることができるとき、自分も自然の一部であると感ずる
瞬間ではないだろうか。
山や森の万物すべてを解き明かすなどは人智の及ぶところではないが、生きとし生けるもの
の多様な生態のほんの一部分でも理解できたら、どんなにか楽しいことだろう。
春まだ浅く、山はまだ厚い雪の布団に覆われたままだ。そんな中で雪解けを待つブナの森の
生きものたちはどうしているのだろう。心躍る季節である。

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【 寄稿 】   いささか緊張した新春の升沢遊歩道散策 
                                  泉区 M浦 S

毎年2月に行われる船形山のブナを守る会の世話人会。山行や林業体験など、一年の活動
計画を決めます。2011年2月の世話人会で、2012年の「新春の升沢遊歩道散策」のサブリー
ダーに選任されてしまいました。これは私にとって一大事です。 少し自分の事を話ますと・・・
山歩きは好き。ピークを狙うのも好きですが、GPSをザックに忍ばせカメラ片手に、気ままに歩く
漫ろ歩きは特に好き。升沢の遊歩道だって何度も歩いています。毎回何かしらの楽しい発見が
あります。ここ数年は、数人の仲間と歩く機会が増えました。ワイワイガヤガヤと話をしながらの
山歩きは、感動の共有もありますし、第一心強いものです。大勢で歩く船形山のブナを守る会
山行も、ほぼ出席しています。しかし全てがお客さん気分。予定を決め、案内した事はありませ
んでした。今回のリーダーは、気心の知れたC葉B彰さんという事で、安心してはいましたが、
私にとって、「新春の升沢遊歩道散策」サブリーダーは重責と感じていました。
 今年1月15日の新春の升沢遊歩道散策当日。受付は船形山のブナを守る会の重鎮の方々が
行っていました。集合場所に集まった参加者は驚きの56名。私が知る限りでは最多人
数です。リーダーから無線機を手渡され、スタート地点の内水面試験場まで移動します。
今シーズンは寒い日が続いた為か、船形山山麓は積雪も多いようです。カンジキやスノー
シューを装着し9時30分スタート。最後尾を歩きます。念のため、荒川を渡る際に人数確認を試
みましたが、先頭は既に視界の先を歩いているようで、しんがりからは確認出来ませんでした。
先頭を歩くリーダーは、深い雪と格闘しているだろう事は、最後尾を歩いていても伝わってきます。
中々前に進まないのです。それほど多くは無い私の山行の経験ですが、どんなに寒くても、冬山
の装備をして、ラッセルしている最中には汗が噴出してきます。しかし56名が一本の線となって歩
いた最後尾は、ラッセルなど関係無し。急な斜面も階段のようになった雪面をゆっくりゆっくり歩く
だけ。中々体が温まりません。隊列は、いくつかの小さな尾根を超え、結氷したすりばち沼の上を
歩き、割山大滝に到着しました。ここで重鎮の方々と作戦会議です。積雪が多く、計画通りに前に
進むのが困難で、今来た道を戻る事になりました。風の当たり難い鞍部で食事をしたのち、内水
面試験場を目指します。時間に余裕が生まれ、新雪を堪能したい人も少なくないとみられ、帰りは
一列とはなりませんでしたが、13時40分、全員無事帰還しました。
割山大滝集合写真
[ 割山大滝をバックに(56名−撮影1名)の集合笑み顔 ]

56名が歩き、深く掘られた道しるべのような一本の道では、迷う事も無いと思いますが、サブリー
ダーの務めを全うするべく、参加者全てが目的地に到着するまで目を離しませんでした。途中トイ
レの為、一本の道から外れる人もありましたが、隊列に戻るまで動かずに待機します。いつもの私
でしたら、リーダーを追い越して先頭からの写真を撮ったり、少し離れた場所から写真を撮りたくて、
隊列を離れたりするのです。また、山の話、草木の話、生態系の話が聞きたくて、前を歩いたり後
ろを歩いたりしています。ブナの会の皆さんは知識も経験も豊富です。人生の先輩が殆どで、歩く
百科事典のような方もいらっしゃいます。話を聞かないわけにはいかなくなるのです。今まで気付き
ませんでしたが、担当となったサブリーダーからみれば、私は隊列を乱す要注意人物に映ってい
たのかもしれません。
 ラッセルが無い代わりに、いささか緊張した今回のサブリーダーの最後尾歩き。緊張が解れたの
は内水面試験場に到着した時でした。今回は深い雪のため升沢遊歩道を一周する事は適いませ
んでしたが、いつもと違った充足感がありました。 

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皆様の熱い想いとカンパを頂戴いたしありがとうございました。

(大崎市)S藤Y雄さん (大崎市)H田Y幾さん (大和町)KK夫さん
(泉区)O岸Yさん (宮城野区)Y城T子さん (大崎市)O友R三さん   (大崎市)K野K喜さん
(大崎市)T代木R一さん (大崎市)K原M行さん (泉区)S木K子さん(泉区)O内T子さん (加美町)I垣Tさん
(多賀城市)M浦M子さん(宮城野区)M浦A子さん
(色麻町)I川Kさん (太白区)T中N子さん、O野寺E子さん 
(福島市)E口Hさん 七ヶ浜町ちがの浦募金の皆様
        
【 事務局より 】 「船形山ブナ通信」のEメール送信をいたしております。
 hunagatabuna@vivid.ocn.ne.jp

 

HP管理者より:寄稿していただいた方、カンパいただいた方には恐縮ですが、
Net上につき、お名前は匿名とさせていただいています。イニシャル間違っていたらごめんなさい。
 


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