船形山からパノラマと春の足音の便り

4月13日、久しぶりに船形山の山頂まで行ってきました。
僕の部屋の南の窓からは七つ森の撫倉山が、西の窓からは三峰山が見えます。
船形山頂は残念ながら近所の杉の木に遮られて見ることが出来ませんが、朝日に照らされた
三峰山の稜線の様子から今日の快適な山歩きへの期待が高まります。

今日は、一般的な積雪期の登山ルートをはずれ、この時期ならではの山頂直下の広大な
雪原を直登し、下山はそこで尻セードを楽しもうという計画を立てたのです。

旗坂キャンプ場から歩き始めましたが、昨夜から早朝にかけて少し雪が降ったようです。
旗坂平
固雪の上に数センチのサラサラの積雪で、ネズミ(アカネズミ?)やリスの足跡も可愛らしく
残っていました。一群平を過ぎた辺りでは崖下に今朝方歩いたと思われるツキノワグマの
足跡も見ることが出来ました。山の動物たちも動き始めているようです。そして、赤みがかった
ブナの梢やにぎやかになってきた鳥の囀りに春の訪れを感じます。

今年は最後になると思う鳴清水の冬道を登りきり、黒森の北斜面に広がるお気に入りの
ブナ林で早くもビール開けちゃいました。
ビール
ここまで、一番乗りの先行者にも追いつくほど快調なペースで歩いてきましたが、いつも通り
僕らの「まったり」ペースに入ってしまったようです。

升沢小屋までは普通に歩き、小屋の管理・点検を済ませ、ここから本日の山行目的の
ルートへ入ります。

小屋から出て山に向かって左手のほうへ進み、沢を少し登って千畳敷あたりへ直登するか
夏道通りに沢を詰めて行くのが普通ですが、今日は右手のほうへ回り沢を少し下ります。
masuawa
そして、湯谷地から続く尾根に取り付き山頂直下のカールの下部に出ました。

山頂真下から眺める船形本山の雄大なパノラマが青空の下に広がっています。
雪原
天気が良いので何の心配も無く、目指すはあそこ!ってカンジで、青と白の境界線に向かって
快適に登ることが出来ました。
登る
稜線手前でほんのちょっとハイマツのヤブを漕いで無事に山頂へ到着。
sannchou

今日のお昼は山小屋で、カレーうどん。
カレーうどん
前日の夕方に食料の買出しに行ったのですが、目に留まったのは赤札で4個で98円のコロッケ。
これをベースに献立を考えました。小屋でご一緒になった単独の方から「すごいですね」って
言っていただいたんですが、うどんにレトルトのカレーを掛けただけなんです。
でも、ちょっと贅沢して高級レトルトカレーにして味比べをしてみました。さすがに一袋
300円近くするだけあって、それぞれが味わい深く優劣はつけ難いですね。
食材原価しめて1200円、一人当たり400円でした。

小屋の温度計はマイナス2℃。少し寒くなってきたので早々に小屋を出ました。
好天なのにカッパを着込みザックカバーも付けて尻セードスタイルです。
下り始めて小屋から北東の方向、約100mくらいのヤブに中に、昨年吹き飛ばされた山頂小屋の
鉄階段を発見しました。
鉄階段
昨年も周囲を探したのですが、こんなに離れたところにあるとは思いも寄りませんでした。
飛ばされたあと雪面を滑り落ちたのでしょうが、山頂の強風のパワーって物凄いもんですねえ!

山頂から真っ直ぐ一気に下へ向かって滑り降りるのは、この時期限定です。
尻セード

カール下部から山頂へ真っ直ぐ続く自分たちの踏み後を何度も振り返りながらの下山は、
なんとも言えない充実感で一杯でした。
トレース

升沢小屋をはるか右手に通り過ぎ、湯谷地の近くに降り立ちました。
昨年4月には何の心配も無く渡れた保野川でしたが、今年はかなりの部分で沢が現れ、
雪の上を渡渉できるのも今年はこれで最後でしょう。来週にはこのルート使えないねえ〜
などと話しながら、花染山の稜線へ向かったのでありました。

西日に照らされたブナ平の薄いオレンジ色の光と影が感動的でした。
そして、朝には雪の下で縮こまっていた旗坂平のイワウチワが、日中の陽射しを浴びて、
我先にと花を咲かせていたのも素敵な風景でした。
イワウチワ

春の足音は、駆け足で僕らの前を通って行っているようです。
四季って言いますけど、4つに分けられないよ。山には三百六十五季あるんだよ。
 


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