船形山から森のクマさんの便り

6月30日、船形山山頂避難小屋の管理の仕事で船形山に登ってきたんですけど、下山して小荒沢林道の途中で沢の写真を撮ろうとしていたところで、ツキノワグマの親子連れに出会ちゃいました。今までツキノワグマには何回か出会っていますが、今回はちょうど三脚を立ててカメラを構えていたところに出てきてくれたので、上手い具合に写真を撮ることが出来たんです。
林道の途中でガスのかかったブナ林と渓流の写真にちょうど良い場所があったので、三脚を立ててガスの状態が良くなるシャッターチャンスを待っていたら、なんかうしろの方でガサガサと音がするんです。ウサギかなあと思うくらいの僅かな音だったんで、別に気にしないで沢の方を見てじっとしてたんですね。しばらくして何の気なしに振り返ってみたら、な・な・なんと林道の反対側にツキノワグマが居るじゃあないですか!しかも距離にして7〜8mくらいに!!!こちらもじっとしていたし、風向きもクマとは反対の方向だったのでむこうもまだ私の存在に気付いていないようでした。ありゃ〜と思いましたが、あ!写真撮らなくちゃ、と思うのが先で静かにカメラの向きを換えて、数回シャッターを押しました。シャッター音で初めてこちらに気が着いたようで、2枚目でこちらを向いてくれました。200mmレンズのファインダー越しに見えたツキノワグマの目は、とてもかわいらくキョトンとした眼差しをこちらに向けていました。しばらく見つめ合っていましたが、お互いに敵意は持っていないので不思議と落ち着いて対面していました。でも良く見ると写真には写っていませんが、今年生まれた子グマが脇に居たんです。やっぱりちょっとマズイかなと思いましたが、クマと私と車の距離はちょうど同じくらい、ここであせって刺激を与えてしまってはいけないので静かに車の方に移動しました。そしたらクマも静かに振り返って山の方に帰っていったんですけど、急斜面を登るときの子グマの仕草がなんともかわいらしかったのが印象的でした。

宮城県では平成14年度から4ヵ年の予定で、「特定鳥獣保護管理計画」の策定を目的として県内のツキノワグマ生息状況調査が行われます。船形山麓に関してはフィールドアドバイザーみたいなかたちで、私も参加することになりました。
調査内容は
(1)生息状況調査  @生息分布調査 A生息密度調査
(2)捕獲状況調査  @捕獲実態 A捕獲固体分析
(3)被害状況調査  
まあ、私は研究者ではないし、船形山周辺を歩き回っているので地域の案内みたいなモンですけど、ツキノワグマの保護を考えれば、生息環境としての森林保護も考えなくてはなりません。大好きな船形山がいつまでもツキノワグマが元気に生きて行けるような自然環境が残ることを願ってやみません。


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