はじめまして。

 私は、黒川郡大和町に在住しており、山歩きと、渓流釣りと写真撮影を趣味としています。
私の住んでいる所から10分も走れば、ツキノワグマやカモシカの棲みかの森に着きます。


カモシカは、行動圏が意外と狭いこと、採食の場所が幼齢造林地である場合が多いことなどから容易に観察することができ、(それでも10回行って3〜4回くらいです)二つのファミリーを見続けています。うちの子供たち(5年生・3年生の息子、幼稚園の娘)は、カモシカは、何回も見ているし、ツキノワグマの糞や食痕なども良く見ているので、そこいらへんにいる動物という感覚を持っているようです。そして何よりも野生の動物との出会いがあると、なんとなく気持ちがやさしくなるような気がするのです。ここに棲んでいる動物たちの為にも棲みかとなる森を壊してはいけない、川を汚してはいけない、そんなことを理屈ではなく本当の気持ちとして感じられると思います。


 私事、ツキノワグマに3回ほど遭遇しており、最初の出会いは7〜8年前でしょうか、イワナ釣りの折、息遣いをはっきり聞き取れ口臭まで感じられると言う手の届くところにいて、お互いに顔を合わせてびっくり仰天と言うものでした。それ以来、ツキノワグマに興味を持って米田一彦さんの本など、熊に関する本は、見つけ次第に読んでみました。また、私は、船形山のブナを守る会にも参加している為、会員の中には結構詳しい人も多いので、いろんな話も聞きました。ツキノワグマって必ずしもむやみに人を襲う危険な動物でも、農作物を荒らす害獣でもないですよね。人間のほうがよっぽど怖い。無意味な堰堤工事や自然林の伐採など、熊やカモシカ、山に棲んでいる動物達にとっては、人間(特に行政のやること)のほうが害獣なのではないでしょうか。適地でもない所にヒノキを植えて、成育が悪いのはカモシカの食害のせいであるとして害獣駆除と称して数多くのカモシカが殺されています。食べ物を探しにちょっと人里に出てきたツキノワグマが事故防止と言う名目で殺されています。

 去年の春に家の近くの国道4号線沿いで、電柱に登っていた子グマが射殺されたそうです。殺すほかに方法は無かったのでしょうか、夜のうちに何故か国道近くまで出てきてしまって、電柱しか逃げ場と思えるところは無かったのでしょう、車やトラックはビュンビュン走っているし、人間もたくさん集まってくる、電柱の上で子グマはどんなに怯えていたことでしょうか、銃口を向けられた時、撃たれた時、子グマはきっと思ったでしょう「何で!」って。そんな子熊の気持ちを考えると、本当に胸が締め付けられる想いです。人に害を与えるために、里に出てくる動物はいないですよね、本当は森の中でひっそりと暮らしていたいのだと思います。そんな事をできるだけ多くの人に解ってもらいたいと思っています。そして、野生の動物達が精一杯生きている息づかいを感じられる本当の自然を子供たちに残してあげたいと思っています。

1999年1月 
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宮城県黒川郡大和町吉岡
千葉 文/B.Chiba

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