精霊のブナ林からの便り(ブナの会 小荒沢源頭ブナ林〜三光の宮)

3月29日、「船形山のブナを守る会」恒例の年間行事、早春の三光の宮山行に参加して来ました。
毎年行っている行事で、結構人気があり参加者も多いのですが、今回は天気が良いのと「小荒沢源頭ブナ林」も訪れる予定もあったためか、約50名という今まであったかな〜?ってくらいの参加が集まりました。
今回はリーダーを任されるのは予想していたので、実は20日に下見に行って来ていたんです。その時は黄砂の影響で雪面の汚れが目立っていたのですが、先週の降雪により新雪で綺麗に塗り替えられた雪原を歩けそうな期待が高まります。

乗り合わせで旗坂登山口へ向かえば、そこには新雪が降り積もり真っ白になった船形山が待っていてくれました。
労山系の山岳会に所属している本格派の人から、雪山が初めてという初心者の方まで、総勢50名の大集団登山のスタートです。今日はこの集団の先頭を歩くわけですから、ペース配分に充分気をつけねばなりません。ベテランで健脚の方には相当ゆっくりのペースで物足りなかったかも知れませんね。
ほぼ予定通りの時間で基準点を通過し、標識19番をちょっと過ぎたあたりから登山ルートを離れて、小荒沢源頭部へと向かいます。地形的に雪の吹き溜まりになっているのか、この時期にスノーシューを履いてヒザ下ラッセルをするとは思いませんでした。しかし、この時期に新雪のラッセルも意外と楽しいものです。
15分くらい歩いたところでしょうか、小荒沢源頭部に近づくにつれ周りのブナの雰囲気が変わってくるのを皆さんの感じられたことでしょう。登山道周辺のブナとは幹の太さが違います。相当な古木なのでしょうか、木肌がゴツゴツしているブナも目立ちます。


いよいよ雪に埋もれた小荒沢を渡り、目的のブナ林に到着です。私はこの場所を訪れるのは3度目になりますから、精霊の宿る?巨木のペアのところに真っ直ぐ行くことが出来ました。ここは不思議な場所で、この森の中に立つとブナ同士が絶対に「会話」してるよなあ〜って思えるのです。ブナの実は数年に一度大豊作の年があります。これは、ブナ自身の子孫を多く残すための知恵なのだそうで、(詳しい説明は省きます)科学的にも植物もコミュニケーションしていると言われています。でも、ここに来ると何処かにいるブナの親分が号令をかけて、それに従っていっせいに実を付けるんじゃないかな〜?って思ってしまいます。
参加された皆さんも、一様にここのブナ林には深い感銘を覚えたようです。原生林の殆どが伐採されてしまった船形連峰の中で、狭い範囲とはいえ、このような見事なブナ林が残っていることに大きな喜びを感じずにはいられません。

昼食後は三光の宮まで登り、そこから下山開始の予定です。花染山の稜線に登りコンパスを南南西の方向にセットすれば三光の宮まで、真っ直ぐに行くことが出来ます。でも今日はちょっと回り道して、普段見えない場所から三光の宮を眺めてみました。
下山時には、例年通りの尻セード!この時ばかりと皆さん子供に戻るようです。中には「数十年ぶりに黄色い声を出した」という女性もいましたよ!

 

 

 

今回は、大人数と言うこともありブナ林の中であまり時間が取れませんでしたが、参加者の方もまだ訪れたことのない方も、いつか一人か少人数で時間の許す限りこのブナ林で過ごしてみて下さい。きっとブナの生命・息遣いを感じられることでしょう。そして、ブナの一本一本にそれぞれの人生(ブナ生?)があるのを語りかけられる声が聞こえてくることでしょう。


(戻る)    (トップページへ)

inserted by FC2 system