船形山から7月花の便り


7月2日、船形山山頂避難小屋の管理の為、6:00に家を出ました。登山口で準備をしていたら、同じく管理を委託されている、K氏がやってきました。お互いに夕べ電話をかけそびれ、連絡がつかなかったのですが、山にくると自然と会ってしまうから面白いものです。登山口周辺は、すっかり夏枯れで、花の姿はあまりありません。私は先々週登りましたが、K氏は先週登ったとの事。一緒に歩きながら、今年は花がきれいだとの意見が一致しました。毎年何回も来ていますが、今年はシロヤシオも花つきが良かったし、サラサドウダンやウラジロヨウラクなど、色が鮮やかな感じがします。今日あたりは稜線上のシャクナゲも咲いてるんじゃあないかなあ・・・。

 足元を見ると、ブナの実がけっこう落ちているのに気が付きます。ここ何日か好天が続いたので、夏の水不足に備えて予めいくらか落としておいたのでしょう。そんなことを思うと、子孫を絶やさぬよう静かな森の中で脈々と受け継がれてきた、ブナの知恵に尊敬の念すら感じてしまいます。やっぱり母なる樹なんだなあってところでしょうか。ところで、知ってました?ブナの葉っぱって側脈(葉っぱの筋)が凹部に伸びてるって事。これはブナ属の特徴で、雨や朝露などの水分をできるだけ逃がさないようにするためなんだそうです。ブナの保水は、落ち葉の地面だけじゃあないんですね、先日の新聞に木で作った砂防堰堤の記事が出ていて、自然や景観との調和みたいなことが書いてありましたが、結局は人工物、木だろうが、コンクリートだろうが魚が遡上できないのは同じ、ブナを切らなかったらそんなもの必要なかったと思うんですけど、いかがなものでしょうか?

沢の雪渓も残りわずかとなり、最近解けたところには、またシラネアオイの花を見ることができました。今年最初に見たのは、4月のヤマメ釣りの時でしたから、徐々に標高を上げながら、4ケ月間に渡ってこの花と出会ったことになります。よく、いつも船形山にばっかり行って飽きないの?って聞かれますが、同じ山に通うことで、その山の息づかいというか、生命を感じられるようになると思うのです。千畳敷を過ぎ、稜線に差し掛かるとやはりシャクナゲが咲いていました。(写真)硬くて開き辛かった小屋の内扉は、先週K氏が調整道具を持っていってくれたおかげで、スムーズに開閉できるようになっていました。

二人で小屋の点検とトイレ掃除などを済ませ、一通り管理の仕事を終わらせて、これからが、私たちの山歩きの始まりです。今日は山形県側の観音寺コースを歩くことに、来る途中決めてきたのです。普通、山登りというのは登って下るんですが、今日は下ってから登ることになります。稜線直下の急勾配を一気に下り、あとは割とアップダウンの少ない道を足元に、アカモノの小さい花を見ながら観音寺コース登山口に向かいます。登山口にて昼食、ちょっと休んで、さあ帰ろうと言って登り始めるのですから、まあ我ながら物好きな山歩きをするもんだと思います。K氏とは、去年の山開きの日は、泉ケ岳から船形山までの長倉尾根を日帰りで往復したんですよ。升沢コース+観音寺コース往復26Kmは、やっぱりけっこう疲れました。特に観音寺コース山頂直下の急登は、きつかったですね。

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千葉 文:B Chiba 
宮城県黒川郡大和町吉岡
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