赤崩山・・・ツキノワグマの森を訪ねて・・・

11月12日 [船形山のブナを守る会」行事、秋の観察会に行って来ました。
今年は山のブナやドングリ類が不作で、里に下りてくるツキノワグマのニュースが連日報道されていますが、ツキノワグマは決して好んで町中に来たいと思っているわけではないし、ましてみずから人を襲ったりするような獰猛な動物ではありません。本当はひっそりと森の中で暮らして行きたいのです。そんなツキノワグマの息づかいを感じたくて、大和町でもツキノワグマの生息密度が高いと思われる赤崩山周辺の観察会が企画されたわけです。
(赤崩山周辺の地図はこちら)

 

 

 

数年前の積雪期に赤崩山に登った時、山頂周辺のブナの木のほとんどにクマの爪痕が残っていたのが印象的でした。登山道もついていない山ですから登る人もほとんどなく、山頂付近は台地状の平らな森になっているので野生動物にとっては天国みたいなところなのでしょうね。
この山はかつて南川ダムを作るときに石を切り出した山なので、中腹くらいまでは立派な舗装道路がついています。
今日はいけるところまで車で行って、今は廃道になっている作業道をしばらく歩き、そこからヤブコギ登山となります。しばらく笹に覆われた急斜面を登ると、今度は潅木帯になります。標高を上げるにつれ煩わしいヤブも薄くなり、歩きやすい雑木の二次林となってきます。かつては炭焼きなども行われていたのでしょうか、炭焼き小屋の跡らしい窪地も何ヶ所かありました。この辺まで来ると、まわりの木々にツキノワグマの爪痕が見られるようになりますが、さすがに今年の痕跡は見つけることが出来ませんでした。やはりブナもコナラもアオハダも不作だったようで、彼等はここに来ても食べ物がないことを知っていたのでしょう。台地状の山頂で無事三角点を確認、周辺を少し散策して下山となりました。

今度は場所を移動して、ツキノワグマの森の中での昼食とします。作業道を少し下って雑木の林に入ると栗の木に出来たクマ棚はすぐ゙に見つかりました。今年の山では実をつけた堅果類は栗だけのようで、ここでも栗の木のほとんどでクマ棚が出来ていました。でも、そのあとのドングリ類がここでも実を付けていないので、栗を食べ尽くしたあとのツキノワグマは何を食べて過ごしているのでしょうか?栗は実ったらイガが開いて落下してしまいますよね、コナラやミズナラはしばらく実を付けたままになっているので採食時期は長くなるらしいのですが、それがないのですからクマも腹をすかしてさまよって居るのではないかと心配になってきます。
クマ棚のを目の前にして昼ご飯を食べたわけですが、ここには確実にツキノワグマが棲んでいて目の前の栗の木の上で食事をしたのです。時間の違いこそあれ私たちはツキノワグマと同じ場所、同じ空気を共有することが出来たのです。あなたがこうしてパソコンの画面に向かってこのHPを見ている今もそのツキノワグマはどこかで生きているのですよね。今頃何をしているんだろうってちょっと想像してみてください。私たちが食事したあたりで匂いを嗅ぎまわって「今日はずいぶん人の匂いがするな〜」とか「食べ物の臭いがするけど何か落ちてないかなあ〜」って思っているかもしれませんよね。そんなことを想像してみると何か心が優しくなれたような気になってきませんか?
 


午後からは場所を「まほろはホール」に移して「ツキノワグマと棲処の森を守る会」の板垣さんによる講話をお聞きしました。
板垣さんは20年ほど前から全国に先駆けてツキノワグマと森を守る活動を続けており、秋保と新川を結ぶ林道建設を阻止されたり、クマのためのデントコーン畑を耕作し全国的な注目を集めています。最近では「クマの畑を作りました」という著書も発売され、益々ご活躍なさっている方です。
スライドを使ってツキノワグマの生活から、農作物の被害や有害駆除、そしてクマの畑の話など盛りだくさんの内容で、参加された皆さんも大変参考になり満足された講話でした。

 

 

今年宮城県内で駆除されたツキノワグマは11月9日現在で171頭に上ります。一部は山に放獣されましたが、放されたのはほとんど子グマで親グマは殺されているのが実態のようです。親を亡くした子グマは危険を知らないので、町中にも現れてしまうのではないでしょうか?仙台市内の住宅街で捕獲されたツキノワグマも子どもだったですよね。山に放たれたようですが、親のいない子グマが初めての冬を無事に越すことが出来るのでしょうか?とても心配です。

赤崩山山頂付近

アオハダに残された爪痕

ツキノワグマの森

この写真は、ツキノワグマがかじったコーラの空き缶と食べた栗です。
クマ棚の下に落ちている栗の皮を見てみるとあの大きな身体でよくもまあきれいに食べることって思います。口の中に放り込んでガリっとかじって皮だけをきれいに吐き出すようです。
コーラの空き缶は先日山の中で拾ったものです。甘い匂いに興味を持ってかじってみたのでしょう。
私たちが個人で出来ること・・・考えてみませんか・・・?・・・

 

 

 

 

 


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