唐府沢探索の便り

8月27日、船形連峰北部に位置する漆沢ダム上流部の唐府沢に行ってきました。

前日の午前中に県内の山のガイドブックの著者である、H川さんから外唐府沢のある部分を探索に行かないかとのお誘いを受け、まだ肩の調子は今ひとつですが山のプロであるH川さんと一緒だし目的の場所までなら劣悪なゴルジュ強行突破や「へつり」なんかもなさそうなので久しぶりの沢歩きに行ってみる事にしました。同行のNさんは職業としてレスキュー隊員だった人なのでこれまた心強い限りです。

最源流部を目指すわけではないので、朝はゆっくり5時半に私の家に来ていただき漆沢を目指します。6時半ころに車止め到着、目的の沢に向かいます。しばらくは車も走れる道路を歩きいよいよ沢に入りますが、ここの沢はほかの沢と違い意外と水温が高めのような感じがします。水温を計るようなマメなメンバーはいないのであくまでも感覚ですけど・・・。

ちょっと沢の中を歩きすぐ巻き道を見つけることが出来ました。踏み跡の感じから釣り人ではなく山菜やきのこ採りの人たちのためのように思いました。しばらく沢に沿って道が付いていましたが、あるところからどんどん沢から離れ山の上に登って行くようになります。何故このように踏み跡が付いたのかは分かりませんが、遠回りしても楽なところを通りたいという表れだったのでしょうか?それとも沢に下りることは特に考えていない踏み跡だったのでしょうか?適当な場所で踏み跡から離れて沢に下りることにしました。下を覗いて見ると結構な傾斜の斜面で、私は肩の不安を感じながらも慎重に木の根や木立につかまりながらどうにか沢床に降り立つことが出来ました。体の調子がいいときなら楽勝で降りられるような場所なんですけどね。まあ万全を期すのであればザイル等を使ったほうがいいでしょう。かなり巻き道を歩いて来たので、降り立った場所はすでに源流部の渓相です。水温が高めですが、チビ岩魚が泳いでいるのはどうにか確認できました。目的の場所はまだまだかなり上流部なので先を急ぐことにしました。

30分も歩いたでしょうか、内唐府沢と外唐府沢の出会いです。どちらも渓相は似たようなものですが、外唐府沢の方がやや水量は多いようです。前もって地形図で確認していましたが、どちらの沢もほとんど゙落差の無い平瀬が続いているようです。目的地は外唐府沢のある地点なのでH川さんが内唐府のちょっと上の方まで様子を見に行くに留めて、外唐府の上流を目指して再び遡行開始、天気もいいし流れもゆっくりな平瀬なので、私はわざと水の中を歩き久しぶりの沢歩きの感触を楽しむことにしました。ここはそれほど釣りの対象となっている沢ではないし、、上流部から沢に降りられるような道もいので、沢を遡ってくるしか来る方法がありません。周囲の森は人の手が入っていないいかにも源流の沢沿いと言った感じでとても良い森です。野生動物の息遣いが聞こえてくるような原生林でブナ、ミズナラ、トチ、カツラなどの大木が目につきます。沢の砂にはツキノワグマの足跡がしっかりと付いていました。爪の跡も残っていたくらいですから、通ったのはついさっきのようです。もしかしたら沢にいたツキノワグマが私たちが近づいてきたのを感じて、あわてて森に入って行ったのかも知れませんね。

お昼の大休止の時には、目の前の水の中で何かが動いているのが見えました。岩魚が跳ねたのかと思いましたが、よく見るとグレーに黒のまだら模様の入った川ネズミが流れてきた虫かなんかを捕食したようでした。野生動物の中でも川ネズミの生息は自然状態が濃い証拠です。そんな自然の中でゆっくりできた一日は楽しくて楽しくて、時間の流れを止めたいってよく言いますが、そんな表現がピッタリでした。

ところで、目的の探索地はどこで、そこの様子は?それはいずれH川さんが自分の著書か専門誌に掲載することになるかも知れません。乞ご期待!

原生林の中の巻道を行く

レスキューのプロ、Nさん

目的地は近い、大岩の渓 洒落てワインとクロワッサン、サイコー!

源流部で見つけた、トチノキの大木。
この岩は何百年と言う歳月をこの樹
と共にしてきたのでしょう?
はるか昔に岩の上に芽を出した時の
こと、幼樹が若樹になり大木へと生長
して行く時間の流れを想像してみると、
自分たちのちっぽけさを感じることが
出来ます。自然保護活動・・・人間が
やってること・・・小さい小さい・・・
でも破壊するのはこの時間の流れから
見ればほんの一瞬・・・


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