船形山から森の再生・復元を願って・・(その2)

5月26日「船形山のブナを守る会」では、船形山の森の再生を願って、笹刈り・除伐を行いました。今年は、遠く東京・埼玉からもわざわざ駆けつけてくれた方の参加もあり、この行事も全国区になりつつあります。森の再生にはやり方が色々あると思いますが、私達は植林ではなく、笹刈りを選択しました。ブナの伐採跡地では笹の成長が早いので、ブナを始めとした広葉樹がせっかく芽を出しても日差しが笹に遮られてしまい、大きく成長することが出来ないのです。そこで、広葉樹の稚樹の周りの笹を刈ってやることで稚樹に日差しを与えて成長を手助けしてあげるというものです。幸いにして船形山では南蔵王周辺と違ってまだ母樹となるブナが残っています。自分の意志で種子を落とし芽を出したブナをその場所で大きくなる手伝いをするだけでよいのです。船形山も母樹となるブナすら残らずに皆伐されてしまったとしたら、私達も植林という手段をとらざるを得なかったのかも知れませんが、皆伐したのは人間です。そこに植林するのも人間です。森を破壊し森を作る、自然に対して人間が完全に優位に立っていると思いませんか?その昔、人が森と共存していたころは、皆伐なんて考えは全く無く、必ず母樹となる木は残したものです。森に生かされているという考えが、森の命を人が握ってしまうようになったのはいつからのことだったのでしょうか・・・

私は昨年に引き続き、杉林の除伐の方に参加しました。昨年手を入れた杉林はけっこう日差しが入り込み、ホウノキやウリハダカエデなど成長の早い広葉樹は、けっこう育っているようでした。前にも書きましたが、ここの杉植林地はかなりの急斜面に植えられている為に、雪の影響か根曲がりになっているのがほとんどです。実際に中に入ってみると分かりますが、何も考えず切るたけ切って、植えるだけだったように思います。拡大造林計画とは一体なんだったのでしょうか?本当に計画的に行われたものだったのでしょうか?
本来、杉林の除伐・間伐とは下刈りと成長の悪い杉を間引きしてやることで、商品価値の高い杉を作ることですが、私達の目的は美しい混交林を作ることですから、広葉樹も残します。手を掛ける前の林は、すぐとなりにいる人も見えないくらいの猛烈なヤブとなっていましたが、みんなの頑張りでどんどん日差しの入る明るい林に変わって行きました。

今までの約40年の間に船形山麓のブナ林は、おおよそ70%が伐採されてしまいました。私達が少人数でできる範囲は限られており、全体から見ればほんの僅かなことに過ぎないのかも知れません。でも、私達は「絶滅に瀕した船形山」から「蘇れ船形山のブナの森」へと視点を移して、元気を出してふるさとの山を守って行きたいのです。

 


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