船形山から新緑のブナの便り

4月28日、Kさんと私それぞれの知り合い合同の7人グループで、船形山に行ってきました。今回同行したSさんと私は山で知り合ったんですけど、船形山、新庄神室で出会い、朝日連峰以東岳で3回目の出会いがあり、短期間に同じ人と3回も会うなんて本当に珍しいことです。それ以来一緒に和賀岳へ行ったりして仲良く付き合いをさせてもらっています。先週に引き続き2週連続ですが、今の時期は1週間経てば山の緑も残雪もけっこう違いがあるので、毎週行っても面白いんです。ブナの新緑が下の方からどんどん色が濃くなってくるのがはっきりと分かります。今回は標高の高低によるブナの違いをご紹介しましょう。

標高700m:ブナの新緑は
葉が開き目に眩しい
標高800m:ようやく芽吹き
始め僅かに緑がかって来ました
標高950m:地面は残雪に
覆われやっと新芽が膨らみ
始めです
標高1200m:2m近い残雪で
低木は雪の下。まだ冬芽です

今回はみんな目的を持っての登山です。Kさんと私は升沢小屋への薪の荷揚げ。今年は雪の量が少なかった為、升沢小屋に入りやすかったせいでしょうか、昨年秋に点検したときに20束くらいあった薪が先週2束しかなくなっていたのです。Sさんは地形図とコンパスの使いかたを練習したいとのことで、残雪期の船形山にやってきたんです。三光の宮から登山道が雪に隠れているし今日は天気もいいので、地図読みの練習にはもってこいで、コンパスのセットのしかたと使い方を説明したあとは、Sさんが先頭になって足跡や赤布に惑わされないようにコンパスの指示した方向に向かって進みます。でもこれだけ天気もいいし、なんたって船形山の管理人が2人も一緒にいるんですから絶対安心です。完全に使いこなせるようになるにはもっと練習が必要でしょうが、Sさんには「大変勉強になった」と喜んでもらえたようです。

さて、船形山は今日はご機嫌で登り初めからずっと姿を見せています。昨夜の気温が下がったおかげで雪も程よく締まっていて歩きやすく、薪を背負っていても足元がふらつくこともありません。薪を背負うので他の荷物は極力減らしてきたので、薪をおろしたあとはまるで空身のように感じて、沢を登るときもかえって足元が滑ってしまうくらいでした。沢を上り詰め稜線に出ても風がほとんどありません。正面に月山から朝日連峰が一望です。鳥海山も見えていました。山頂小屋で昼食をとっていたら、Nさんのグループがやってきました。みんな知り合いなので、小屋はまるで貸切状態で、まあ、他の登山者がいなかったのが幸いでした。

 

下りは、蛇が岳経由で草原コースをとることにしました。この時期の蛇が岳は稜線歩きとは言え、残雪で夏道がけっこう隠れているのでなめてかかってはいけません。昨年秋にKさんが付けてくれた赤布が大変役に立ちました。草原は例年最後まで雪が残っているところなので、今年はいくら雪が少ないといってもご覧のとおりの残雪がありました。私達が歩っている数メートル下には、コイワカガミ・コバケイソウ・トキソウなどの花がぐっすりと眠っているのです。こんなに雪の下でじっと遅い春を待つ、小さな花の生命力は私達人間のそれと違ってなんとたくましいものなのでしょう?その反面、咲き出した花は人に踏まれたり、ちょっとした環境の変化で、生息範囲を狭めてしまうという弱さも合わせ持っています。こうして山を歩いているとつくづく考えます。自然って強さと弱さがかねあって成り立っているものだと。そして、そのバランスを崩してしまう原因のほとんどは人間が関わっていること。それに対して私達のできることって一体なんなのでしょうか?私も自然保護団体に参加していろんな運動はしていますが、たった一人でできることは、山に入り自然の息吹を感じ一体となること・・・。


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