船形山から・・・花染のブナに会いたくて・・・

3月16日、春の陽気に誘われて久しぶりに花染山のブナに会いに行ってきました。日本山岳ルーツ大辞典によれば、花染山の名前の由来として「4〜5月のシーズンを迎えると色とりどりの花が開花し、全山を五色で染め上げるという美しい山名」とあり、周辺の小荒沢林道沿いには6月頃からヤマアジサイやツルアジサイなどの花が色を添えています。しかし、今の花染山は人が容易に入れる(見える)所は、でたらめな拡大造林計画によるブナの伐採といいかげんな植林によって荒廃が進み、美しい山とは言い難いものになっていて、私たち「船形山のブナを守る会」が荒れ放題のスギの植林地を除伐・間伐しているのも、この花染山の東部南斜面で、東部北斜面も伐採と植林で見るに耐えません。その反面、尾根筋と西部南斜面から小荒沢左岸にかけては、知る人ぞ知る見事なブナ林が広がっていて、以前はこのような見事なブナが全山を覆っていたのかと思うと、何とももったいないことをしたものだとつくづく感じます。左の写真は、尾根上から北泉が岳方面を望んだものですが、もう少し前に進みアングルを高くすれば荒廃した南斜面を見ることが出来ます。

いつもの内水面水産試験場前に車を止め、スキーを履いて小荒沢林道を歩き始めます。花染山は登山道が整備されていないので、雪のある時期しか行くことが出来ず、しかもアプローチに雪の積もった小荒沢林道を小1時間くらい歩かなければならない為、訪れる人も少なく静かな山歩きを楽しめます。ここのところ山や渓流釣りに出かけたときはすべて好天で、今日もアウターなしでもすぐに汗が出てくるほど暖かです。2月17日の観察会に大人数で歩いた跡がかすかに残り、今年の好天続きを物語っているようです。50分ほどで群境手前の花染山取りつきに到着、スギの植林地の間の南東方向に伸びる尾根筋を稜線に向かい登高開始です。稜線上は東側と南側どちらにも雪庇が張り出しその間の2mくらいの部分を慎重に登ります。カモシカの足跡が残っていて、さすがのカモシカといえどもここしか通ることが出来なかったようですね。

尾根上は船形山方面からの強風のせいでしょうか、南東方向に雪庇が張り出していて幅7〜8mの真っ白い道が私を迎えてくれます。ここで注意が必要なのはなるべく北側(写真で見る右側)を歩くことで、不用意に左側に近づいて雪庇を踏み抜いてしまわないようすることです。積雪のお陰で遮るものが何もない白い道を気分良く暫く歩くとほとんど人が入らないブナの原生林となります。登山道升沢コースのブナ林も見事ですが、ここのブナ原生林の美しさには目を見張るものがあり、ましてほとんど人は入れませんから野生動物の楽園みたいなものでしょう。先週升沢コースを歩いていますが、ここのほうがカモシカの足跡は多いようです。きっと熊もこの辺の雪の下で寝てるんだろうな〜。去年はブナの実が不作だったからちゃんと赤ちゃん生まれてるんだろうか?そろそろ起きなくちゃ・・なんて思いながらまどろんでいるんだろうか?なんて考えながらブナ林を眺め一服します。春先の休みの日に布団の中でそろそろ起きようかなあ〜でももうちょっと布団に入っていようかなあ〜って感じでダラダラするのってすごく気持ちいいですよね?この春のやわらかい日差しを受けた森の中でツキノワグマたちもきっとこんなふうに気持ちの良い午前を楽しんでいることでしょう。

山頂を越えわずかな鞍部を過ぎると、三光の宮へ続くの登りとなりますがずっと尾根筋なので、よほど視界が利かない場合以外はそう迷うこともないでしょう。でも念の為1051mの小ピークでコンパスをセットし方向を確認します。指示通りに真っ直ぐ歩けば標識15番三光の宮に着きます。下りは登山道にそってスキーで一気にすべり降りました。(本当は急斜面はキックターンの連続)

今回はコース図を作ってみましたので、ここをクリックしてみてください。

 

 

花染山ブナ林(1)

花染山ブナ林(2)

ブナに残った熊棚


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