船形山から純白と日本晴れの便り

3月9日、好天に誘われて船形山に行ってきました。いつもは目覚まし時計をセットしないんですが、前日から快晴の予報だったので気合を入れて5時にセット。夜明け前に起きて体調を確認、気力も十分です。いくら慣れてる山とはいえ、今の時期に山頂を目指すとなればそれなりの覚悟が必要です。7日〜8日にかけて里にも少しですが雪が降ったので、山にはもっと降っているはずですから吹き溜まりはけっこうなラッセルになることも予想されます。そして山頂近くになれば雪面はウインドクラスト(低温下で風の影響により硬く締まったアイスバーンなど)状態は間違いなく、そんなところを中途半端な気持ちで歩くのはまさに命取りになりかねません。

いつもの旗坂キャンプ場に着くと、先着の車が1台止まっていて数人の山スキーパーティーがすでに出発しているようです。一人ラッセルはきついだろうと思ってきましたが、これで楽が出来ます。足回りを何にしようか考えましたが結局スノーシューにして歩き始め、先行パーティーのトレールをたどって行くと、2月に新雪を一人ラッセルした時に比べるとやはりずっと楽です。今年は例年に比べてとても雪が少なく一群平の標識も雪の上に顔を出していて快調にどんどん高度を稼ぎ鳴清水に向かいます。右前方の奥の方に山頂がきれいに見えていて、山頂からの展望に期待が膨らみます。鳴清水を越えたあたりから先行パーティーが予定どうりなのか間違っているのかは分かりませんが、1136mのピークのほうに向かってます。ここは、三光の宮への登りと間違いやすく、高みを目指してはいけない場所で、そのまま上に向かってしまうとけっこうなアルバイトとなってしまうので注意が必要です。先行のトレールから外れ、踏み後のないブナ林を一人で歩きますがラッセルもそれほどではなく気持ちの良い一人歩きです。三光の宮手前の鞍部は私のお気に入りのブナ林で、逆光の中で長い冬を耐えてきたブナたちが早春の日差しを浴びて輝いています。時折風が吹いて新雪を巻き上げ、雪煙が逆光に輝き半透明のベールをまとったブナの姿のなんと美しいことでしょう。今日のブナは、なんかとても女性的だなあと感じます。

三光の宮に着くと、無雪期には低木が邪魔してあまり良く見えませんが、今の時期は船形山の全容が見えてきます。ここから升沢小屋までのルートが、けっこう迷いやすくガスってる時なんかは、こまめにルート確認しなければなりません。今の時期に山に入る人はそれなりの技術と装備を持っているのですが、一番大変なのが5月の連休の頃です。前にも書いていますが、その頃にはかなりお粗末な人たちがけっこう入ってきます。5月になってもこの辺はまだ雪が相当残っていて、夏道は全然見えないし、赤布や踏み跡はほとんど頼りになりませんからせめてルー判技術はマスターしてから来るようにしたほうがいいと思います。




升沢小屋も例年の5月くらいの感じで、すっかり屋根が雪の上に出ています。ここからどのルートを行こうかちょっと考えましたが、少し沢を歩いたらやっぱり吹き溜まり状態で、北側の尾根を直登して千畳敷に出ることにします。稜線上にはダケカンバの低木が霧氷をまといバックはすごくきれいな青空で、純白と日本晴れの取り合わせはすごく写欲をそそります。稜線直下で形の良い木を選び、腹ばいになって青空の中に白いダケカンバを浮かび上がらせるようにしてフィルム1本分くらいの写真を撮りました。すごくきれいでしたよ。夢中になってデジカメで撮るのを忘れてしまった為、ここでお見せできないのが残念ですが現像上がったら公開したいと思います。(うまく撮れてればいいんですけど・・・)
稜線に出れば、千畳敷は広大な雪原となっていて、真っ直ぐに山頂へと向かえます。スノーシューのアイゼン部分を効かせて横滑りしないように注意して歩きます。


山頂に着くと予想通りの展望が私を迎えてくれました。正面に月山がドーンと構え、朝日・飯豊連峰まで一望でき蔵王連峰はジャンプすれば飛んでいけそうです。やっぱり来て良かった!!!

山頂小屋は出入口部分が氷雪に覆われて、ドアを開けることが出来ません。東面の窓から入りましたが、ストーブの燃料は全く無くなっていて立派な薪ストーブは避難小屋には不要な飾り物と化していました。小屋で休もうとしていたら、ブナの会のAさんがやってきました。Aさん持参の日本酒で登頂と好天に乾杯しました。
登り4時間20分、下り2時間30分でした。

山頂避難小屋

出入口付近

山頂にてセルフ(頭にタオル巻いてます)


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