船形山から白い便り

12月2日、今シーズン初めての船形山積雪期登山に行ってきました。
仕事がすごく忙しくてなかなかHP更新していませんでしたが、船形山には定期的に行ってたんですよ。9月の末には、升沢小屋に薪の荷上げをしてきたし、11月半ばには、大滝コースと三光の宮から大滝キャンプ場間での間に赤布をつけてきたりしていました。この赤布はKさんと2人掛りで残雪期にも使えるように3mくらいの高さに付けてきたのですが、果たして大丈夫でしょうか?もっと積雪は多いような気もしますが・・・・

さて、12月の船形山ですが、昨日(12月1日)には、様子見もかねて鈴沼まで行ってきました。小荒沢林道は、積雪は少なくけっこう車で走ることができました。でも、最後の沢を渡ったところで、雪が深くなってきたので堰堤工事跡の広場まで戻り車を止めて歩き始めます。最初長靴で歩き始めましたが、キャンプ場までの舗装道路は雪が深そうだったし、せっかくスキー持ってきたからと思い、バックカントリースキーに履き替えに戻りました。シーズン最初のBCスキーだったけどやっぱりスキーは楽チンです。誰も歩いていないバージンスノーの上をたった1人で歩くのは最高の気分です。キャンプ場から鈴沼までの道は、ワカンに履き替えて歩きます。いよいよ冬の鈴沼です。鈴沼は船形連峰の中でも1・2位を競う景勝地ですが、氷結している白い所と凍っていない水面とが沼面にすごくきれいなコントラストを作り出しています。今日のこの美しさは、私1人の為だけにあるのです。こんな風景や山に咲く花など、誰に見せるわけでもないのに自然が作り出す美しさを目にしたとき、言いようのない感動を得ることができます。
(鈴沼にはセミ判カメラしか持っていかなかったので、現像上がったら公開したいと思います)

今日(12月2日)は、Kさんと9:30に待ち合わせ、昨日車止めたところから山頂を目指す計画です。大滝の東屋からキャンプ場まで、車ならすぐですが雪の上を歩くとなるとけっこう大変です。ブナの小枝にも霧氷が張り付き、薄い日差しに照らされてキラキラと輝きまるでブナにガラス細工を施したような感じです。
先月くらいまでけっこう賑わいのあった大滝キャンプ場も今は誰もいません。もっとも登山口のずっと下から歩いて今の時期に山頂を目指す物好きはそういないでしょうけど・・・。


キャンプ場からワカンを履いていよいよ登山開始です。そんなに雪は深くなくて快調に歩きはじめますが最初の平坦地だけで、行ったことのある人は分かると思いますが、暫く歩くとけっこう急なところが出てきますよね、そこら辺から雪は深くて重いし、ちょっと踏み抜くと腰のあたりまで潜ってしまいます。でも夏道はけっこうはっきりしているし、コース目印の赤ペンキも確認できます。低木が完全に雪に埋もれた時のために、ルートと地形そして先月つけた赤布を確認しながら歩き続け、冬だというのに汗びっしょりです。よく雪山なんてそんな寒いところに・・・と言われますが、装備さえしっかりしていれば雪山ってそんな寒くないですよね。2人でスノーシューだったらもっと早く歩けたんじゃないかな、なんて話しながらヒザ下くらいのラッセルを相互にトップを交代しながら続けますが、Kさんのトップの方が断然長いので、ちょっと申し訳ない気がしますが、なんと言ってもKさんは升沢コースを2時間かけないで登る人なので、私のトップでは少々物足りないのかも知れません。眺望所まで1時間近くかかってしまったので、これからのことを相談します。時間は12:30になろうとしており、下山時のことを考えると山頂着が14:00を過ぎてしまうとちょっと心配です。とにかくどこまで行けるかは別にして、14:00まで登り続けそこで食事、そして下山開始ということに決定しました。何が何でも登頂するといった考えは2人ともさらさらありません。

小野田コースの分岐点を過ぎると、今までの雪質とはまったく違って軽いし、前に積もった雪が下で凍っているのかさっきまでとは沈みも少なくなってきました。Kさんがトップで歩きますが、なんか夏道と変わらないくらいのスピードで進みます。私は多少遅れ気味になってしまったので、カメラを取り出して冬のブナ林などを撮影します。
この写真はデジカメなんで、まあこんなモンです。本当は三脚立てて気合入れた写真撮りたいんですけど、今日は1人ではないので35mmの手持ちです。

最後のロープ場を過ぎたところでKさんが待っててくれ、稜線までの涸沢を一緒に歩きます。ナナカマドやダケカンバなんかの枝には、雪が凍りついていて今度は真っ白なセトモノ細工のようです。無雪期には石がゴロゴロですごく歩きにくいこの道は、今日は雪のおかげでフラットになって、普段より歩きやすいくらいでグングン高度を上げていきます。この調子なら十分14:00前に山頂につくことができそうです。ほとんど風が無い中を歩いてきたのですが、稜線に出たとたん、大変な強風でちょっと体が煽られるほどでした。
空は曇っていますが、稜線上はガスも無く山頂の標識まで見えています。山頂までの途中でKさんが何か見つけたようです。

←これなんだと思います?オコジョが雪にもぐるために掘った穴なんですね。雪の下のハイマツの枝の隙間を歩いて、松ボックリなどをかじっているネズミでも捕食するのでしょう。

 

強風の中を13:40無事山頂到着。潅木の枝から、山頂標識、小屋まで雪が凍りつき、クリスマスケーキの上に乗っている砂糖でできた家を見ているようでした。山頂小屋は、初冬だからこんなもんですが、あと数週間もすれば厚い氷に覆われドアを開けるのも大変な苦労となります。小屋泊まりを考えている人は、それなりの覚悟が必要ですし、今年は昨シーズンと違って山頂小屋に薪を荷揚げしていません。役場でストーブ用に固形燃料を用意しましたが、すでに7個しか残っていません。おそらく12月中になくなってしまうことでしょう。正月以降に山頂小屋泊まりを計画している方は、燃料が無いつまりストーブは使えないと認識していたほうが良いでしょう。船形山山頂小屋はストーブがあるとガイドブックなんかで紹介されていますので、すぐ無くなってしまう固形燃料の配置には一考が必要だと思います。当初は、避雷針修理の時に薪もヘリで上げると聞いていたのですが・・・。役場には強く改善を申し入れるつもりです。

小屋で山頂の新雪を溶かしたお湯でラーメンを作って食べます。ポットにお湯は持っていったのですが、まあ雰囲気ですから。日の短いこの時期ですから食後の一服も程ほどに下山開始です。御来光岩から2mも下がれば先ほどまでの強風がウソのようです。一時ガスが晴れ、船形連峰の主稜線が全容を現しました。午後の斜光線に照らし出された三峰山の輝きが印象的でした。ほんのちょっとの間のことだったので、写真は撮れませんでした、やっぱりこんな美しい光景は苦労して登った人だけに見せてくれる山の神様の贈り物なのかもしれませんね・・・。
大滝登山口から登り2時間20分、下り1時間15分くらいだったでしょうか、車まではプラス30分です。

稜線上から鏡ケ池を見下ろす

山頂にてKさん

山頂にて千葉(B)

山頂小屋(1)

山頂小屋(2)

20日前(11月11日)の山頂

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