船形山から新緑とミヤマキンバイの便り

5月19日、三光の宮からの新緑と残雪の写真を撮りたくて、船形山へ行ってきました。
2週間前に来たときから比べても、段々緑が濃くなってきて、嘉太神あたりでは、タニウツギの花が咲き始めていました。旗坂から鳴清水までは、もう初夏の山の感じで、タムシバは終わりかけ、ムシカリの花が満開でした。これから、ツツジ類が咲き始め、エゾハルゼミがにぎやかに迎えてくれる季節になります。さすがに三光の宮近くになれば、まだ雪が残っています。三光の宮に着けば、予想通り北丸松保沢南斜面には、残雪の中、ブナの新緑が、まぶしく輝いていました。
三光の宮で、太陽の光線を待ちながら、岩の上で一服。天気も良かったし、誰もいないところで、この風景を独り占めできる幸せに、30分以上浸っていました。下からは、北丸松保沢の水音が、そして森の中からは、ウグイスやちょっと種類はわかりませんが、いろんな小鳥の囀りが聞こえてきます。昨日までの、都会の雑踏中での生活とは、ぜんぜん違う天国です。そうそう、風の音を感じるってこと、街の中ではあんまりありませんが、山に来ると、すごく感じますよね。

三光の宮をあとにして、山頂を目指します。升沢小屋までの間は、残雪にだいぶブッシュが出てきて、歩きにくくなってきました。もう少し雪が多ければ、まっすぐ歩けるんですが、雪の下から目覚め、起き上がってきて低木をよけながら歩きます。
升沢小屋を過ぎ、沢を詰めますがまだまだ雪渓は残っていて、この分だと、6月末くらいまでは、雪渓歩きになりそうです。千畳敷ちかく、稜線の手前で左手の潅木がゆれています。ちょっと黄色いシッポが見えました。テンです。しばらく見ていたら、雪渓に出てきてこちらへ向かってきます。足元が気になるのか、なぜか下ばかり見てこちらに気付きません。カメラを出そうとして、ザックをおろしたとき、気付かれてしまい、ほんのちょっと目を合わせましたが、また潅木の中に消えて行きました。とてもしなやかな動きが印象的でした。

稜線から山頂にかけては、雪はもうありません。足元には、イワナシが小さなピンクの花を咲かせ、コメバツガザクラ・ミネザクラなどが残雪の山並みに彩りを添えています。山頂付近には、去年よりもちょっと早く、ミヤマキンバイのお花畑が広がり、7.5キロの道のりの疲れを癒してくれます。

眼下に、残雪と新緑の山並み、そして流れる雲を見ていると、平日の生活が架空のもので、この景色を見ている今が、本当の自分であるかのような、錯覚さえ感じます。この時がずっと続けば、どんなに素敵なのだろうかと想いながら・・・

   
山頂付近の、ミネザクラとミヤマキンバイ

山頂から見下ろす仙台カゴあたりの山並み


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