船形山から升沢雪の便り

2月25日、朝起きたら昨夜降った雪が青空の下、木の枝に輝いていてとってもきれいだったので、山に向かうこととしました。別にどこへ行くかは決めていませんでしたが、今年になってまだ升沢に行ってなかったな〜と思いバックカントリスキーで少し歩いてみることにしました。里は今までの寒さも一段落し、春の気配さえも感じられるこのごろですが、ひと山越えたあたりからは、まったくの雪景色でまだまだ厳冬の装いです。升沢の集落は、米軍の実弾演習に絡む集団移転もほとんど終わり、人気が無くさびしい限りです。

保存か解体かで議論のあった、早坂林衛門さんの家も住む人が無く、雪に埋もれています。町の財政上の理由から解体保存となるそうですが、いずれは何とか再建してもらいたいものです。この家は、建築された時代が古いというのはもちろんですが、船形山が「舟ケ峠」と呼ばれていた藩政時代の歴史を考証する上でも大変貴重なものです。集落最後の小川さんの家もすっかり解体され、ただの雪原のようです。ここの集落は、船形山の伝説や、山岳信仰など日本独自の山村文化にも深く関わり合いがあり、私たちの時代にひとつの文化が終焉を迎えるということには、寂しさとともに次代に対する責任みたいなものを感じてしまいます。

 

旗坂のキャンプ場手前に車を止め、バックカントリースキーを履いて歩き始めます。登山道の方には踏み跡も結構残っていますが、キャンプ場から丸松保沢の方はまったくありません。深雪の中、誰もいないブナ林の中を静かに歩いていると、平日の都会の喧騒を忘れ体の中から、そして心の中から本当にほっとした幸せな気分になってきます。

種類はちょっとわかりませんが、鳥のさえずりなどが聞こえてくると、雪に覆われていても、春の訪れはそろそろなのかなあと思います。

沢に吊橋がかっているんですが、手すりの高さ以上に雪が積もっていて、2〜3日前でしょうか、カモシカが渡ったらしい足跡が残っています。この吊橋をスキーで渡るのは、とってもスリリングでした。
沢沿いをしばらく歩くと、ちょっとした滝があり、以前はここを住処にしていた、カワガラスもいたようですが、今はどこへ行ったのでしょう。
あと1ヶ月もすればブナの芽吹きはまだ早いでしょうが、マンサクの花などは咲き始め、今とはぜんぜん違う風景を作って待っていてくれるはずです。季節の移ろいを感じるのは、やっぱり、自然に肌で触れ合うことが一番ですよ!皆さんもご一緒に行きましょうよ・・・

 

 

  

 

 

 

 

 

 

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千葉 文:B.Chiba
宮城県黒川郡大和町吉岡
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