船形山から子供たちの便り


7月23日
昨日から、船形山山麓、升沢の「森の学び舎」に来ています。大和町吉岡、上町地区の子供達の一泊二日、夏休み研修です。


昨夜は、飯盒炊飯、野外食事などをして、寝る前にお話会をして、私は、女の子の部屋だったんですけど、山本素石さんの書いた「山釣り夜話」でしたっけ?その中に書いてある、狸や狐が人を化かすと言うような話をしました。通力を持った、「もののけ」は、ネズミの天ぷらに目がなく、それをタネに金をせしめる方法、相楽寺の白狐の和尚の話なんかをしたんです。1年生から6年生まで、17人の女の子だったんですけど、話の前に、狸や狐は人を騙す通力を持っていると思う人?と聞いた所、なんと全員が手を上げたんです。まあ、私も山には人間の及びもつかない、不思議な力があるって信じていますけど・・・。変に冷めてる子もいなくて、みんな興味を持って聞いてくれたようでした。

今日はメインの山歩きです。船形山の三光の宮あたりまで、行こうかとも考えたんですけど、1・2年生もいるってことで、升沢遊歩道を歩くことにしたんです。遊歩道といっても山道の約5キロですから、低学年は少し心配です。小荒沢橋のたもとから入って旗坂キャンプ場に抜ける道なんですが、最初は、杉の植林地、そのあと雑木林から沢を渡って、ブナ林に変わります。途中、まるで日本庭園のような「割山小滝」、50mの断崖に荒々しい岩肌を見せる「割山断崖」、桑沼方面からの伏流水を豪快に落とす「割山大滝」、ブナ原生林の中に静かに水をたたえる「すりばち沼」などがあり、すごくいいところなんです。あまり人と会わないっていうのも良いですよ。

熊の爪あとのついたトチノキなどを観察しながら、沢に出ると自然の涼風を感じます。暑い中を歩いてきたので、涼しさがすごく気持ち良いんです。沢の渡渉は子供達も楽しそう。熊の通り道になっている所では、みんなで「クマ出てこないでよ〜」って大声で叫んだり、キツツキ類の食痕の穴を調べてみたり、ブナの洞の形が誰かの顔に似てるだとか、山の中ならではの楽しみを充分体験したんじゃあないでしょうか。今日参加した子供達はもちろん、付き添いのお父さん達も、(自衛隊に行ってるお父さんは、別にして)5キロ程度の山歩きは初めてのひとばかりでしたけど、男の子14人・女の子17人、全員無事に終点に辿りつけました。子供達も自分の足で、山の中を3時間歩き通したことは、きっと大きな自信と喜びであったと思います。そして、将来この子供達が、自分の子供を連れて歩くときも、今と変わらぬ自然が残っているように、もうこれ以上の自然破壊が進まぬようにと願うばかりです。

 

    
   割山大滝の前で記念写真

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千葉 文:B.Chiba
宮城県黒川郡大和町吉岡
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